先日3月4日に、第7回のバスティンフォーラムが開催されました。
3年に1回開催されるイベントで、全国のバスティン指導者が集います。
今回も講座あり、研究会の発表あり、オリジナルグッズの販売あり、わくわくと新鮮な驚きに満ちた時間でした。
まずは日本のピアノ教育界のレジェンド、藤原亜津子先生の講座「50年の指導を振り返って」、続いてリサ・バスティン先生の新刊、「テクニック・クラシックス」を中心とした実践的な内容の講座がありました。
私が代表を務める龍ヶ崎バスティン研究会では、今回は研究会の発表の枠で参加いたしました。
前回はコロナ禍で完全オンラインだったので、リアルな会場で発表したのは6年ぶり!
発表内容は、バスティンメソッドをさらにかみ砕き、実践と解釈を重ねた藤原メソッドから少しだけ紹介し、メソッドで育った生徒のビフォーアフター動画を流して全国の先生方にご覧頂きました。
お揃いの龍ヶ崎Tシャツも作りました♪
準備期間は短かったのですが、普段から深めている内容なこともあり、メンバーのパワーが一気に集結した感じで、楽しく終わることができました。
藤原メソッドの良さ、それはマニアである私は何時間も話せそうですが、「あらゆるアプローチは生徒個人に寄り添い、どのような状況の生徒でも必ず成長させられる」ということに尽きるように思います。学び、受け継ぎ、常に考え続けてレッスンに臨みたいと、思いを新たにしました。
最後に宣伝…
今回のバスティンフォーラムで、この2年ほどずっと制作してきた「バスティン・ガイドブック」が発売になりました。藤原メソッドの動画がかなりたくさん入ったガイドブックです。これからメソッドを使ってみたい方、もうベテランの方、どなたにも参考になる内容になっております。
お求めは東音出版のホームページから♪ぜひお手に取ってご覧頂ければと思います。
2025年04月14日
第7回バスティンフォーラム
posted by yuki-sanui at 12:19| バスティンメソッド
2024年10月03日
バイエル
こんにちは!
バスティンメソッドの話を書いていこうと思います。
10年ほど前より、導入のレッスンではバスティンの「ピアノパーティー」シリーズを使っています。それは「必要な内容が、論理的なつながりをもって網羅されている」「子供の発達を見ながら臨機応変に対応できる」からです。
それ以前は様々な教材を使ってきましたが、今考えるとただ目先を変えていただけで、本質的なことを理解できていなかったと反省しきりです。そんな若い講師だった私は、日本におけるバスティンメソッド普及の草分け的存在である、藤原亜津子先生の講座に出会います。そこで大量のウロコを目からボロボロと落としたのでした。
現在も私は、藤原亜津子先生のもとでバスティンメソッドの勉強を重ねております。
その中で、メソッド自体の勉強と並行してピアノ学習の本質的な部分をも学んできました。というより、バスティンを学ぶほど、ピアノ学習に必要不可欠な本質が見えていったという感覚です。「教材は何であれ、何を教えるかが大切」という藤原先生の言葉の通りです。
ということで、バスティンメソッド、特にピアノパーティーを例に取り、どのようなことを学ぶのか、何が大切な基礎なのかについて考えていきたいと思います。
バスティンに入る前に、今日はバイエルの話です。
先日楽器店に出かけました。何しにいったかと言いますと、「バイエル」を探しに行ったのでした。バイエル…、私が講師になって25年ほど経ちますが、正直バイエルを使おうと考えたことはありませんでした。
自分自身はヤマハの幼児科で導入段階を過ごし、バイエル下巻でピアノ個人のレッスンを始めて、学生時代の終わり頃、90年代終わりから講師として少しずつ仕事を始めた世代です。バイエルに嫌な印象はないのですが、私が子供の頃に比べて多種多様な、カラフルな教材の山を前にして、積極的に選ぼうとはしなかったという所です。
今回は大人の方がバイエルをご希望されていたので、まずは楽譜を見てみようと思って出向いたのでした。
驚いたことに、バイエルだけで一棚あったのです。バイエル自体は1冊の本で収まろうとすれば収まる程度です。子供用に分冊のものもあります。でも、ボリュームだけでなく、色々な編集が入ったり、昔懐かしい絵柄のものから現代風の可愛らしいものまで、色々な種類のバイエルがたくさんありました。人気あったのですね…!
あらためて見てみると…
@本編に入る前の基礎練習がある。拍と拍子や音価について、やろうと思えばかなり念入りな訓練を重ねることができる。5指で弾けるものなので、ポジション移動のわずらわしさがない。
A講師とのアンサンブルが豊富。70番台以降は、音楽的な曲もたくさん。
B8分音符、付点のリズムなど引っかかり勝ちな内容も丁寧に網羅している。
C調の種類もバランス良く、♯と♭それぞれ2個ずつまで出てくる。
D60番台で急に難度が上がる。
Eヘ音記号の登場はかなりゆっくり。
良い所も、ちょっと不足を感じる部分も、あらためて全体を見渡すことができました。
そしてまた、このようにも思いました。
「バイエルは、大人にこそ向いている」
論理的で、段階を踏んでおり、重要な内容を網羅している。ただし、受け手の側に、それぞれの内容の意図をくんで、目的意識を持って取り組める力がある方が効果が上がる。また、手や指の発達、精神的な発達、その他子供の成長の様々な個性を考えると、子供たちにとっては「ちょっと進度が急」「ちょっと言葉が足りない」印象を受けます。
例えば、子供たちの集中力は、幼いほど短いものです。バイエルの課題はやや長く、集中できない子供が多数出るでしょう。
また一番大きな問題点としては、「ピアノを弾く前に育てるべき様々なこと」についての視点は全くないということです。それは当然なのです。バイエルが書かれたのは1851年頃、ショパンが亡くなって2年。ロマン派の華やかな時代。日本で言えば江戸時代の終わり頃です。汽車がどうにかこうにか登場したくらいの時代のもの。発達心理学が発展していく前の段階です。そこから150年ほどの間に、音楽や教育、心理学その他様々な研究が進展し、ピアノの教育法も大きく変化しました。
「バイエル」からは著者であるバイエル先生の意図がはっきり伝わってきますし、内容もバランスが取れていて良いものです。150年前の偉大なピアノの先生からバトンを受け取れることに、何だかロマンを感じます。これはクラシックの良さにも通じます。ただ、幼い子供の発達という面から見ると、そこはかなり色々な工夫をしていかないと、大方の子供たちにはマッチしにくい内容でもあります。
ということで現代に生きる我々は、バイエルの良さも理解しつつ、この150年の間に進歩した様々な先人の業績に学んで、よりよいレッスンを提供できるように努力し続ける必要があります。私にとって、そのきっかけであり基本となったのが「バスティンメソッド」、そして藤原先生との出会いでした。
バスティンメソッドの話を書いていこうと思います。
10年ほど前より、導入のレッスンではバスティンの「ピアノパーティー」シリーズを使っています。それは「必要な内容が、論理的なつながりをもって網羅されている」「子供の発達を見ながら臨機応変に対応できる」からです。
それ以前は様々な教材を使ってきましたが、今考えるとただ目先を変えていただけで、本質的なことを理解できていなかったと反省しきりです。そんな若い講師だった私は、日本におけるバスティンメソッド普及の草分け的存在である、藤原亜津子先生の講座に出会います。そこで大量のウロコを目からボロボロと落としたのでした。
現在も私は、藤原亜津子先生のもとでバスティンメソッドの勉強を重ねております。
その中で、メソッド自体の勉強と並行してピアノ学習の本質的な部分をも学んできました。というより、バスティンを学ぶほど、ピアノ学習に必要不可欠な本質が見えていったという感覚です。「教材は何であれ、何を教えるかが大切」という藤原先生の言葉の通りです。
ということで、バスティンメソッド、特にピアノパーティーを例に取り、どのようなことを学ぶのか、何が大切な基礎なのかについて考えていきたいと思います。
バスティンに入る前に、今日はバイエルの話です。
先日楽器店に出かけました。何しにいったかと言いますと、「バイエル」を探しに行ったのでした。バイエル…、私が講師になって25年ほど経ちますが、正直バイエルを使おうと考えたことはありませんでした。
自分自身はヤマハの幼児科で導入段階を過ごし、バイエル下巻でピアノ個人のレッスンを始めて、学生時代の終わり頃、90年代終わりから講師として少しずつ仕事を始めた世代です。バイエルに嫌な印象はないのですが、私が子供の頃に比べて多種多様な、カラフルな教材の山を前にして、積極的に選ぼうとはしなかったという所です。
今回は大人の方がバイエルをご希望されていたので、まずは楽譜を見てみようと思って出向いたのでした。
驚いたことに、バイエルだけで一棚あったのです。バイエル自体は1冊の本で収まろうとすれば収まる程度です。子供用に分冊のものもあります。でも、ボリュームだけでなく、色々な編集が入ったり、昔懐かしい絵柄のものから現代風の可愛らしいものまで、色々な種類のバイエルがたくさんありました。人気あったのですね…!
あらためて見てみると…
@本編に入る前の基礎練習がある。拍と拍子や音価について、やろうと思えばかなり念入りな訓練を重ねることができる。5指で弾けるものなので、ポジション移動のわずらわしさがない。
A講師とのアンサンブルが豊富。70番台以降は、音楽的な曲もたくさん。
B8分音符、付点のリズムなど引っかかり勝ちな内容も丁寧に網羅している。
C調の種類もバランス良く、♯と♭それぞれ2個ずつまで出てくる。
D60番台で急に難度が上がる。
Eヘ音記号の登場はかなりゆっくり。
良い所も、ちょっと不足を感じる部分も、あらためて全体を見渡すことができました。
そしてまた、このようにも思いました。
「バイエルは、大人にこそ向いている」
論理的で、段階を踏んでおり、重要な内容を網羅している。ただし、受け手の側に、それぞれの内容の意図をくんで、目的意識を持って取り組める力がある方が効果が上がる。また、手や指の発達、精神的な発達、その他子供の成長の様々な個性を考えると、子供たちにとっては「ちょっと進度が急」「ちょっと言葉が足りない」印象を受けます。
例えば、子供たちの集中力は、幼いほど短いものです。バイエルの課題はやや長く、集中できない子供が多数出るでしょう。
また一番大きな問題点としては、「ピアノを弾く前に育てるべき様々なこと」についての視点は全くないということです。それは当然なのです。バイエルが書かれたのは1851年頃、ショパンが亡くなって2年。ロマン派の華やかな時代。日本で言えば江戸時代の終わり頃です。汽車がどうにかこうにか登場したくらいの時代のもの。発達心理学が発展していく前の段階です。そこから150年ほどの間に、音楽や教育、心理学その他様々な研究が進展し、ピアノの教育法も大きく変化しました。
「バイエル」からは著者であるバイエル先生の意図がはっきり伝わってきますし、内容もバランスが取れていて良いものです。150年前の偉大なピアノの先生からバトンを受け取れることに、何だかロマンを感じます。これはクラシックの良さにも通じます。ただ、幼い子供の発達という面から見ると、そこはかなり色々な工夫をしていかないと、大方の子供たちにはマッチしにくい内容でもあります。
ということで現代に生きる我々は、バイエルの良さも理解しつつ、この150年の間に進歩した様々な先人の業績に学んで、よりよいレッスンを提供できるように努力し続ける必要があります。私にとって、そのきっかけであり基本となったのが「バスティンメソッド」、そして藤原先生との出会いでした。
posted by yuki-sanui at 10:44| バスティンメソッド
2021年09月28日
バスティンフォーラムへ向けて
こんにちは!
今年から龍ヶ崎バスティン研究会の代表を務めることになりました。
藤原亜津子先生のもとへ直接伺って勉強するようになってから6年ほど。
お話を伺うたびに、誇張ではなく毎回気づかされ、勉強させて頂くことに出会います。
おそらく、メンバーの皆さんも同じ思いを持っていらっしゃる事と感じております。
2022年2月には3年に一度のバスティンメソッドの祭典、バスティンフォーラムが開催されます。
龍ヶ崎バスティン研究会も発表に参加させて頂くことが決まりました。
今回のフォーラムでは、藤原先生がピアノパーティーの講座をされます。
ピアノパーティーは、私もメイン教材として日々使っておりますが、大変奥の深い教材です。
レッスンに来てくれるお子さんは、当たりまえの事ですが、一人ずつ個性があります。
それぞれの方に対して、レッスンの中ではまったく違う表現や、アプローチ、グッズの使い方をします。
教える順番も違うことはしょっちゅうです。
ですが、そのすべてのもとにあるのは「何を教えるか」です。
私たちピアノ講師は、ピアノ教本を進めていくことが仕事なのではありません。
「何を教えるのか」が大切です。そこがはっきりしていてこそ、そのために教本を使い、グッズを使い、様々なアプローチやプログラムで生徒さんに接します。
それは日々勉強ですし、レッスンしながら気づくこともたくさんあります。
ピアノパーティーは、そのような「何を教えるのか」を具現するひとつの手段ですが、バランスが良く、音楽的能力の基礎を築くためにかなり助けになってくれる、ピアノ講師と生徒さんたちの強い味方です。
龍ヶ崎バスティン研究会では、このピアノパーティーの奥深い魅力、可能性、使い方のバラエティを時間をかけて研究していきたいと思っています。
まずは、フォーラムに向けてしっかり準備を重ねていきます♪
今年から龍ヶ崎バスティン研究会の代表を務めることになりました。
藤原亜津子先生のもとへ直接伺って勉強するようになってから6年ほど。
お話を伺うたびに、誇張ではなく毎回気づかされ、勉強させて頂くことに出会います。
おそらく、メンバーの皆さんも同じ思いを持っていらっしゃる事と感じております。
2022年2月には3年に一度のバスティンメソッドの祭典、バスティンフォーラムが開催されます。
龍ヶ崎バスティン研究会も発表に参加させて頂くことが決まりました。
今回のフォーラムでは、藤原先生がピアノパーティーの講座をされます。
ピアノパーティーは、私もメイン教材として日々使っておりますが、大変奥の深い教材です。
レッスンに来てくれるお子さんは、当たりまえの事ですが、一人ずつ個性があります。
それぞれの方に対して、レッスンの中ではまったく違う表現や、アプローチ、グッズの使い方をします。
教える順番も違うことはしょっちゅうです。
ですが、そのすべてのもとにあるのは「何を教えるか」です。
私たちピアノ講師は、ピアノ教本を進めていくことが仕事なのではありません。
「何を教えるのか」が大切です。そこがはっきりしていてこそ、そのために教本を使い、グッズを使い、様々なアプローチやプログラムで生徒さんに接します。
それは日々勉強ですし、レッスンしながら気づくこともたくさんあります。
ピアノパーティーは、そのような「何を教えるのか」を具現するひとつの手段ですが、バランスが良く、音楽的能力の基礎を築くためにかなり助けになってくれる、ピアノ講師と生徒さんたちの強い味方です。
龍ヶ崎バスティン研究会では、このピアノパーティーの奥深い魅力、可能性、使い方のバラエティを時間をかけて研究していきたいと思っています。
まずは、フォーラムに向けてしっかり準備を重ねていきます♪
posted by yuki-sanui at 00:00| バスティンメソッド